救難員として、18回にわたり災害派遣に出動。危険な現場で数え切れないほどの人命を救助してきたプロフェッショナルだ。豊富な経験を生かし、医療機器をヘリコプターへ持ち込めるように規則の改正に取り組むなど、航空自衛隊の救難能力の向上にも寄与した。
「救助では3つの安全を守らなければならない。身の安全。現場の安全。要救助者の安全だ」と話す。
災害現場では、技術の巧拙と迅速性が生死を左右する。助けられる機会は2度もないかもしれない。「二次災害の可能性を考慮し、安全を確認した上で、救助に最善を尽くす」
平成20年6月に発生した岩手・宮城内陸地震。岩手県奥州市で、崩れた土砂に巻き込まれ乗客ら20人が乗ったバスが崖下に転落した。現場に急行すると、頭部の出血が激しかったり、骨折したりした重傷者もいた。現場では小雨が降り、低体温症を起こす恐れもあった。重傷者にはバスのカーテンを引きちぎり、毛布代わりにした。最後の1人を救出するまで現場に留まった。犠牲者は一人もでなかった。