クルド自治州とイラク中央政府のにらみ合い続く 独立めぐる住民投票から1週間

 【カイロ=佐藤貴生】イラク北部のクルド自治政府が行った住民投票で、9割超が独立に賛成してから2日で1週間となる。投票結果に法的拘束力はないが、イラク中央政府のアバディ首相は住民投票の実施は違憲で認められないとし、自治政府との協議に応じない姿勢を崩しておらず、にらみ合いが続いている。

 また、中央政府は同様にクルド人住民を抱える隣国トルコやイランと軍事演習を行うなどして圧力をかけている。大きな混乱などは起きていないもようだ。

 イラク中央政府は9月末、クルド人自治区への国際航空便の乗り入れを全面的に禁止。空域を管理している立場から海外の航空会社に運航を停止するよう通告した。また、自治区の主要財源である原油売却で得た収入を中央政府に明け渡すよう求めるなど、「国家主権」を盾に経済面から締め付けを強めている。国連や米国が双方の対話を仲介する意向を示しているが、進展は伝えられていない。

 域内にイスラム教スンニ派が多く住むクルド自治政府のバルザニ議長は、シーア派主体のアバディ政権が地方分権や予算の適正配分に努めていないとして、住民投票を強行した。

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