自衛隊と地域住民の橋渡し役を体現していると言っても過言ではない。
青森県八戸市出身で、約800年の歴史を誇る同市の郷土芸能「八戸えんぶり」に平成11年から携わり、今では所属するえんぶり組の「親方」として組の統率、運営を担い、地域の文化を伝承する中心的な役割を果たしている。
「自衛隊員と同時に、地域社会の奉仕者として八戸の宝を守っていきたい」と力を込める。
自衛官だった父の背中を見て育ち、子供の頃から自衛隊員と触れ合う中で、「日本の安全を守っている海上自衛隊にあこがれた」と国防への熱い思いを抱いた。現在、基地で運用しているP3C対潜哨戒機の整備や隊員の規律維持などの任務に就く。
毎年2月に行われる八戸えんぶりは、太夫と呼ばれる舞い手が馬の頭をかたどった烏帽子(えぼし)をまとい、豊作を願って舞う祭り。本番が近付くと任務終了後に第2の仕事場に足を運び、子供らに舞を指導する毎日。「えんぶりが近付くと休みも返上して練習に駆け付けます」。少子化で、伝統芸能の後継者不足が懸念される中、一人の自衛官として住民と積極的に関わることが地域振興につながると確信する。
約10年前からは、八戸の郷土芸能を題材とした切り絵の個展も年に数回開いている。「地域振興の懸け橋として、若い自衛官にも地域貢献活動の大切さを伝えていきたい」と表情を引き締めた。(福田徳行)