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「読書の秋」がやってきた。大阪府内の図書館では、利用者の探究心をくすぐるユニークな企画が人気を集めている。時節に合わせたテーマ展のほかに、一度も貸し出しのなかった本を集めたり、カバーを開けるまで何の本かわからない「図書館福袋」を実施したり…。最近では本を通じた交流イベントも行われており、何かとお堅いイメージが強い図書館が利用者の裾野を広げるためにあの手この手の工夫を凝らしている。(北村博子)
2万8千冊のうち3600冊が貸し出し記録なし
府立中央図書館(大阪府東大阪市)の入り口付近のコーナーに、専門書から絵本までさまざまなジャンルの本が並んでいた。高齢男性が近寄り、興味深そうに目線を左右に動かしながら「こんな本、初めて見るなあ」とつぶやく。一冊を手に取って、ペラペラとページをめくったかと思ったら、早々に持ち去っていった。
ここに並べられていたのは、いずれも昨年度に一度も貸し出しがなかった本ばかり。同図書館によると昨年度、購入や寄付によって約2万8300冊を受け入れ、うち約1万9千冊を貸し出し対象にしていたが、約3600冊が一度も貸し出されていないことがわかったという。
「図書館には、こんなにもいろんな本があることを知ってもらいたい」
そんな担当者らの思いから、「私を館外(おそと)へ連れてって-貸出0回本展示」が初開催された。8月8日から約1カ月間にわたって臨時の展示場を設置し、常時約50冊を並べた。その結果、展示総数194冊のうち、163冊が館外へ連れ出され、貸出率は84%にものぼった。