経済産業省は28日、再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度(FIT)」に関する有識者会議を開き、平成30年度以降の買い取り価格の議論を開始した。再生エネの普及を後押ししつつ、国際的に割高な価格を引き下げられるかが論点になる。認定量が想定を超えて膨らむバイオマスは年1兆円が電気料金に上積みされる見通しで、入札制度導入などを検討する。
FITは電力会社が固定価格で一定期間の買い取りを保証し、事業者の設備投資を回収しやすくする仕組み。買い取り価格は電気料金に上乗せされる。
バイオマスは今年9月までに認定を受ければ、1キロワット時あたり24円で20年間の買い取りを保証する。10月からは2万キロワット以上の大規模発電は価格が21円に下がるため申請が急増。結果、認定量は3月時点で1242万キロワットとなり、1年間で3・4倍に膨らんだ。
認定量が全て稼働すれば、政府が想定する42年度導入量の約2倍の発電量になり、料金の上乗せも拡大する。経産省が10月から大規模太陽光に導入する供給価格の入札制度のバイオマスへの適用も検討する。
ただバイオマスは木質チップといった輸入材など燃料費が発電コストの7割を占めており、普及拡大が供給価格の引き下げにつながるかが不透明。買い取り期間終了後、発電事業の収益を確保する「自立化」も論点になる。経産省は太陽光や風力など各電源の価格を見直し、年度内に結論を出す。