話の肖像画

建築家・安藤忠雄(4)胆嚢、十二指腸、膵臓…なくても 面白いんじゃないかと

 「安藤さん、またがんがあるで」と再び医師に告げられたのは、26年の6月ごろ。今度は膵臓(すいぞう)と脾臓(ひぞう)を全部取る必要があると。あわてて「全部取って生きていけるんですか」と聞くと、「全部取って生きている人はいますが、元気になった人はいません」。それは困ったなと絶望的な気持ちになりましたが、仕方がない。まあ胆嚢と胆管、十二指腸、膵臓と脾臓がない人は日本中にいないと思うから、面白いんじゃないかと。

 次、何に挑戦しようかと考えるうちに元気になりました。食事内容も手術前と変わらず、ゆっくり時間をかけて食べれば問題ありません。健康の秘訣(ひけつ)? 歩くことですね。毎日1万歩以上歩いています。

 でも何より大事なのは、面白いものを探すこと。いつも希望を自分で見つけてくるから、元気を保てているのだと思います。サミュエル・ウルマンの詩にあるように、目標を持って生きているうちは青春ですから。本を読む、映画を見る、そして建築の仕事…。好奇心を鍛えて、青春を生きていきたいですね。(聞き手 黒沢綾子)

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