自分を当てにした新党の動きに、もどかしさを感じたのだろうか。
小池百合子東京都知事が新党「希望の党」を結成し、自ら党代表に就くと発表した。
「改革保守」の旗を掲げ、衆院選では関東や関西を中心に全国で候補者を立てるという。
驚いたのは、参加予定者である若狭勝衆院議員や細野豪志元環境相らが取り組んでいた綱領、政策などの作成作業をリセットし、希望の党の政策として自ら諸課題を並べたことだ。
政見を同じくする仲間を募り、理念や政策を積み上げる作業は一切、省略だ。民主的な党運営とは無縁のスタートといえる。
政権の受け皿を狙う新党を率いる指導力を、際立たせてはいる。だが、結局は政策の中身より自らの人気や求心力で勝負する姿勢がはっきりしたのではないか。
結党届には、民進党などを離れた現職国会議員9人が名を連ねた。小池氏は「この選挙さえしのげればいい」という候補者を選別して排除する必要性を語ってはいる。だが、短期決戦でどれだけ理念や政策を共有できるだろう。
新党作りに動いていた若狭、細野両氏の動きに鈍さはあったろう。それでも頭ごなしの結党を目の当たりにし、黙って参加する。それこそが、当選さえすればいい人たちの「希望」をかなえる党の姿を暗示していないか。
示された政策も、目玉と呼べるような独自性には乏しい。地方分権や議員定数・議員報酬の縮減、情報公開などを掲げるのは「改革政党」を印象づけるためのものではないか。