一方で日本も事実上の偵察衛星といえる情報収集衛星を03年から10機以上打ち上げている。ところが、北朝鮮の軍事力の脅威に直面している韓国はゼロ。これまで何をしていたのかといえば、かりそめの平和に浸っていたのだ。
「ろうそくデモ」で退陣した朴槿恵(パク・クネ)前大統領は12年12月の大統領選でこんな公約を掲げた。「2020年には月に太極旗(韓国国旗)がはためくだろう」と、月への有人探査を宣言した。以降、「韓国型ロケット」と称する液体燃料ロケット「KLSV2」の開発に多額の資金を投入してきた。自国技術での打ち上げに資金などのリソースを集中したのだ。しかし技術力不足から月計画は延期を重ね、現在の目標は21年に月衛星軌道投入というもの。当初の「20年に有人月探査」からは大きく後退した計画となっている。こんな資金があれば偵察衛星を作り、他国に打ち上げを依頼できたはずだが、韓国の優先順位は目の前の危機より絵に描いた餅だった。
現実との乖離
韓国軍は14日、遠距離誘導弾(巡航ミサイル)「タウルス」の試射に成功したと発表し、国民に安心と安全を打ち出したが、このミサイルはドイツ製。これまで国産武器にこだわってきたが、戦車も自走砲も戦闘機も国産化できず、使い捨ての誘導弾すら輸入せざるを得なかった。北朝鮮が一途に核兵器と弾道ミサイルを開発する間、造船やメモリーなど目先の金儲けに右往左往してきた結果、韓国の防衛産業は全くと言っていいほど育っていなかったのだ。その結果、「ミサイル防衛」は丸裸の状態が続いている。