軍事用の偵察衛星はいずれも「脅威のある場所」を恒常的に偵察できる軌道に投入されており、イスラエルなど3国の衛星が東欧や中東周辺を重点とした軌道を描いているのは間違いない。北朝鮮を偵察するためには軌道変更が必要で、そのためには偵察衛星の持つエネルギー(推進剤)を相当量失うこととなる。本来なら偵察高度を下げ詳細な情報を得るなど「いざというとき」のために使うエネルギーを失ってしまうのだ。また、映像からどれだけ細かい情報が得られるか(分解能)など軍事衛星の能力も「レンタル先」に明らかになってしまう。たとえ同盟国でも貸し借りなどあり得ない。
しかも偵察衛星の寿命はどの国でも5年前後とされている。他国に貸せば衛星開発費と打ち上げ費用に加え、十年以上の長期スパンで考え抜かれた偵察衛星システム、さらには安全保障構想さえ変更を迫られることになる。
SBSによると、3国からは偵察衛星を貸せないどころか、映像の貸与や販売もできないと、けんもほろろの応対を受けたという。
計画と信用
北朝鮮の核、ミサイル開発は急速に進んでおり、9月15日には今年8回目となるミサイル発射を実施、北海道上空を通過している。日本では「Jアラート」でミサイルの飛翔が通知されたが、この発射を最も早く探知したのは米国の偵察衛星とされる。ミサイル発射時の炎や熱を衛星が感知し、米軍システムから日本海を遊弋するイージス艦や米海軍太平洋司令部、日本政府や自衛隊などに通知される。