東京電力福島第1原発事故の影響で福島県から千葉県に避難した18世帯45人が、国と東電に計約28億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、千葉地裁であり、阪本勝裁判長は東電に対し、42人に計3億7600万円を支払うよう命じた。国については「遅くとも平成18年までに津波が発生する可能性を予見できたが、対策を取っても事故を回避できなかった可能性がある」などとして、請求を棄却した。
全国で起こされている約30の同種集団訴訟で2例目の判決。初の司法判断となった3月の前橋地裁判決は国と東電の責任を認めて賠償を命じており、結論が分かれた。
(1)東電と国は巨大津波を予見し事故を回避できたか(2)国は東電に安全対策を取らせる権限があったか(3)国の指針に基づく東電の賠償は妥当か-が主な争点。
政府の地震調査研究推進本部は14年7月、「マグニチュード8クラスの津波地震が30年以内に20%程度の確率で発生する」との長期評価を公表。判決は「この知見を前提として、津波の高さを算出していれば、経済産業相は遅くとも18年までに敷地を超える津波が発生する可能性があることを予見できた」とした。