復曲能「重衡」 奈良で18年ぶり上演へ 10月、ピアノ「響演」も

ポスターなどを手にする出演者ら
ポスターなどを手にする出演者ら

 南都攻撃の大将だった平重衡(しげひら)を描いた幻の復曲能「重衡」が人間国宝の観世流能楽師、大槻文蔵さんによって10月14日、奈良市の奈良春日野国際フォーラム甍(いらか)で上演される。奈良では平成11年以来、18年ぶりの上演。「第32回国民文化祭・なら2017」の一環としてピアノと共演するダイジェスト版も同日に企画されており、奈良ゆかりの古典の復曲能と現代的な表現が鑑賞できる貴重な機会となる。

 重衡は栄華を誇った清盛の5男で、南都焼き討ちの大将となった。東大寺大仏殿や興福寺などが焼けたため、仏敵とされ、最期は木津川で斬首された。

 復曲能は東大寺などが焼けたことへの後悔、苦しみを抱きながらも戦いに身を投じてしまう姿を描いた作品で、奈良坂から見える仏閣を案内する「奈良の名所教え」も魅力の一つ。室町時代に作られたがその後演じられず、昭和58年に復曲され、奈良では平成11年に興福寺で重衡の追悼供養として演じられた。

 今回は、文化関係者らでつくる「伝統の未来を見つめる会」(奈良市、菊池孝代表)などが奈良発祥の能に親しみ、この曲が平和を考えるきっかけになることを願って企画した。当日は午後2時の開演。S席9千円、A席7500円、B席5千円、学生優先席3500円。

 また午前11時からは、「ピアノと能の響演『重衡』〜1180年 治承四年十二月二十八日夜半 一本の松明から事件は起こった」が上演される。「ピアノで奈良を奏でる会」(奈良市、榊原明子代表)などの主催で、大槻文蔵さんと大倉流小鼓の久田舜一郎さん、ピアノの榊原明子さん、笙の伊藤えりさん、チェロの水谷川優子さんが共演する初公開の演目で、「奈良の名所教え」を中心に制作された。500円(先着500人)。

 伝統の未来を見つめる会では「人間の罪、愚かさを許せるメッセージを発信できるのは奈良のみ。奈良から平和のメッセージを発信したい」と話している。

 問い合わせは、「伝統の未来を見つめる会」「ピアノで奈良を奏でる会」((電)080・9601・6014)。

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