ソウルからヨボセヨ

テレビ労組スト…番組がさらに左にブレる可能性

 韓国の地上波テレビはKBS、MBC、SBSの3局でうち純民放はSBSだけ。KBSはいわば国有、MBCは財団所有なので公営放送といっている。そのKBSとMBCがこのところ労組のストで番組に大きな支障が出ている。北朝鮮の弾道ミサイル発射のニュースも日本のテレビの方がはるかに早く詳しかった。

 ストの影響で定期番組が縮小、中断されたり、いつものアナウンサーや番組司会者が出演せず、代わりに以前出ていたベテランがやったりしている。これはこれで年配の視聴者には懐かしく重みもあっていいが、このストは文在寅(ムン・ジェイン)政権のスタートと関係している。

 左翼・革新政権誕生に勢いづいた労組が、過去の保守政権下で任命された現在の社長ら経営陣の退陣を要求しストをしているのだ。彼らは「公正な放送」を主張しているのだが、スト圧力で経営陣が代われば、今度は「公正」を看板に左翼・革新的なニュースや番組が幅を利かすことは明らか。だから保守陣営は「文政権は放送掌握を狙っている」と非難している。

 韓国の放送界は先にロウソク・デモをあおって朴槿恵(パク・クネ)前大統領を罷免に追い込んだように相当、政治的でかつ左翼的だ。それが新政権下でさらに左にブレる可能性がある。北朝鮮擁護にならなければいいが。(黒田勝弘)

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