さらば、土星探査機「カッシーニ」 研究者が語る、その「最期」と活躍の軌跡

--カッシーニがミッションを終えたあとの、佐柳さんの今後の研究予定をお聞かせください。

衛星を使った研究なら、金星の大気をリモートセンシングによって観測している「あかつき」から公開されてるデータの解析がメインになるかと思います。「あかつき」は、ぼくの専門分野にいちばん合っている探査機なんですよね。ほかにも地上からの観測やハッブル宇宙望遠鏡を使ったデータの解析、それにモデリングなど、やることはたくさんあります。

--では最後に。われわれ人類の宇宙探査に向けた、佐柳さんの夢は何でしょうか?

「夢」というレヴェルであれば、太陽系のすべての惑星に最低ひとつずつ、周回軌道から継続的に観測できる探査機がほしいですね。天気は変わるものですから。地球の気象や気候というのも、周回衛星からの時間変化によるさまざまなデータを集めることで理解できたことも多いのです。ただ土星のスナップショットを撮って、「ハイ、土星とはこういうものです」とはいきませんからね。

ですが、こういった壮大な「夢のプロジェクト」は、ひとつの国では到底無理な話です。NASA、ESA、JAXAなど、すべての宇宙探査機関を合わせた国際協力が必要になってくると思うのです。

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