さらば、土星探査機「カッシーニ」 研究者が語る、その「最期」と活躍の軌跡

--土星から地球に何かを送信するまで、どの程度の時間がかかるのですか?

光の速度で進む電波は、土星まで片道約80分で到達します。コマンド送信から受信までには3時間弱ほどです。ちなみにデータ転送速度は365kbps。現在のブロードバンドよりもはるかに遅いですが、カッシーニが打ち上げられた20年前は56kbpsモデムが主流だったことを考えれば、すごいと思います。

画像が撮れても送信する時間がないので、土星突入時はカメラを使う予定はありません。最期の画像観測は衝突の1週間くらい前ですね。

--カッシーニからは、これまでどれだけのデータが送られてきたのでしょうか?

2015年時点で444GBの容量だったので、現時点では500GBを超えるほどだと思います。

--500GBだと、いまの時代では大したことがないように感じてしまいますね(笑)

打ち上げは1997年だったので、95年ころのコンピューターの技術でつくられていると考えていただければわかりやすいかもしれません。Windows 95の時代です(笑)。しかも宇宙用途のCPUは一般用途の2〜3年遅れのものを使用している。それで500GBほどのデータを収集したというのはすごいことです。

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