--確かにそれは大きな発見でしたね。そもそも、どのような経緯で探査機のミッションに興味をもたれたのでしょうか?
ぼくが大学院に進学したのが2001年。博士課程を終えたのが07年ですから、博士論文の研究を始めたころにはカッシーニの土星への到着が念頭にありました。そこで土星の大気を研究テーマにしようと決めたんです。ぼくの博士論文は「1990年に起きた土星の嵐の解析」。博士課程を修了するまでに、嵐についてかなり勉強しました。
そして10年に同じような嵐が起きたとき、その重要性がすぐにわかったんです。個人的なタイミングとして、これ以上にないほど運がよかったと思いますね。当時はちょうど、カッシーニの最期をどうするかについての議論がなされていたのですが、どうにか20年に起きるはずの嵐まで燃料をもたせることはできないかと模索されているころだったんです。
--では当初の予定では、カッシーニは20年まで頑張らせるはずだったと?
その考えを支持する声もあった、ということです。ですが、10年時点で嵐が起こってしまったので、わざわざ長もちさせる必要性はなくなったと。嵐ひとつのお陰というわけでもないのですが。