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皇室は「世界に誇ることができる制度」…碧い眼の神道学者が見た日本 論説委員・山上直子

 興味深いのは、博士が集めた朱印帳だ。今では女性に人気だが、40冊もあり、1冊に50社、計約2千社の朱印が残る。それほど多くの神社を訪れていたことにも驚くが、当時、日本統治下で創建された南洋諸島の神社の朱印などもあり、歴史資料としても貴重だろう。

神道は宗教である

 本来、敬虔(けいけん)なキリスト教徒の家系に生まれた英国人が、なぜこれほど日本の神道や皇室にひかれたのか。端緒は、研究者で有名な英国人のチェンバレン、アストンが英訳した「古事記」「日本書紀」を読んで、英文ではなく日本語で読みたいと思ったからだという。神話や歴史に始まった日本研究も、その後さらに分野を広げた。民俗学的視野から「八咫烏(やたがらす)」に興味を持ち、日本各地の八咫烏信仰を調べて考察した著書もある。

 当時、日本固有の神道は、日本で暮らす外国人にとっても宗教として理解するのが難しかった。チェンバレンは著書「日本事物誌」で「宗教に値する資格がほとんどない。神道には、まとまった教義もなければ神聖なる本(聖書や教典)もない」と書いている。

 そうした理解に対してポンソンビは「私の考えでは、神道は最も活力に富む宗教であり、かつ非常な生命力を持つ宗教である」とその宗教性を強調した。彼が見た、日本の神髄としての神道とはどんなものだったか。宗教摩擦が世界に広がる今こそ、再考してみたい。

 昭和12年12月、京都で没。展示は今月30日まで。(やまがみ なおこ)

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