古文書から肉声が聞こえる(5完)

海外でも人気の忍者、楽しく実態解き明かす 歴史学者・磯田道史さん

 --忍者の実態を解明する学術研究は、あまり進んでいないのですね

 磯田 伊賀や甲賀の山奥まで行って、忍者の子孫に当たって、記録を探す作は誰かがやらないといけない。こんな面白い作業、自分がやりたいと思いました。

 --本格的に忍者研究に取り組み始めたのはいつですか

 磯田 もう10年近くになります。地震や津波の研究より先に始めているんですよ。ところが、東日本大震災が起きた。それじゃあ、急がなきゃと先に災害をやって防災関係の本を1冊書いたので、ずっと我慢していた楽しい忍者研究を今、再始動しているところです。毎月のように甲賀に行っています。甲賀には、手つかずの忍者文書が一杯残っています。

 --甲賀忍者は、資料がないことで存在を疑問視されることもあったそうですね

 磯田 滋賀県甲賀市の渡辺さんという方のお家では、とても面白い古文書が見つかっています。「忍者として雇われました。技に修練を誓います。人には忍者だとしゃべりません」という風な誓約書を尾張藩に出している。そういったものが忍術書などと一緒に残っているのです。忍者がはっきりいたことを示してますよね。

 --今後の展望は

 磯田 学術的に忍者の実態を明らかにしたい。また、そのつど世の中の出来事に対応する古文書を解読して、現代の生活に役立つ歴史学を発信していきたいです。(聞き手 横山由紀子)