児童虐待情報協定締結、24都道府県に 警察と共有、昨春から続々

 急増する児童虐待に対応するため、警察と自治体との間で情報を共有する協定の締結が、計24都道府県に上ったことが5日、分かった。虐待事件をきっかけに昨春以降では18都道府県が続々と締結(見直し含む)、他に少なくとも5県で締結準備が進んでいる。ただ提供する情報が一部にとどまるケースが多く、「全件の共有を目指さないと子供の命を守れない」と指摘する声もある。

 警察と自治体との連携強化は昨年1月、埼玉県狭山市で3歳女児が虐待死した事件がきっかけだ。この事件では、市の職員が女児の自宅を訪問したが警察に通報せず、一方で近隣からの通報で警察官が自宅に駆け付けたが児童相談所(児相)に通告しないなど、連携不足が顕在化した。

 厚生労働省によると、警察に相談内容を知られてしまうことで保護者が児相への相談を控えたり、児相の事務が増えたりするため、情報共有が進まなかったという。

 警察庁は同年4月、全国の警察に自治体との情報共有を徹底するよう指示。情報共有を協定に明文化することで、虐待を早期に発見し子供の安全確保を目指した。特に児童福祉司は1人当たり平均100件以上の案件を抱えており、児相がつかんだ情報を警察に提供し、被害の拡大を防止することも目的となる。

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