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2020年代に月の周回軌道に有人基地を建設する米航空宇宙局(NASA)の構想が注目を集めている。宇宙航空研究開発機構(JAXA)はこれに参加して日本人飛行士の月面着陸を目指す考えだが、巨額の費用負担など課題は多く、実現するかは不透明だ。(草下健夫)
火星への中継地
NASAは今春、1960〜70年代のアポロ計画以来となる有人月探査構想「深宇宙探査ゲートウエー」を明らかにした。大型ロケットSLSで宇宙船オリオンを打ち上げ、月を周回する基地に毎年4人の飛行士が15〜90日間滞在するものだ。
国際宇宙ステーション(ISS)に続く有人基地と位置付け、国際協力で技術を蓄積し、30年代に実現を目指す有人火星飛行の中継地として利用するのが狙いだ。周回軌道は重力が小さいので、出発時に宇宙船の燃料を節約できる利点がある。
米国は10年以上前から月面開発や小惑星探査を検討してきたが、いずれも中止に追い込まれた。今回の構想はこれらの実現手段だったSLSやオリオンの開発を継続し、基地の推進装置には小惑星探査の技術を使うなど従来の路線を引き継ぐ内容となった。