銀行カードローンについて、銀行業界は既に対策を取り始めている。融資の上限額引き下げや広告自粛などの対応を図ることで、必要以上に借りすぎるといった問題を防ぐためだ。ただ、消費者金融などの貸金業者に課されている「総量規制」の導入には反対を貫く。
銀行業界が自主規制に乗り出す一方、総量規制の導入に反対するのは、教育資金や冠婚葬祭に加え、一部の零細企業の資金繰りを支えるといった側面が銀行カードローンにあるためだ。仮に総量規制を課せば、法外な金利で金を貸す闇金業者に利用者が流れるとの懸念もある。
しかし、銀行カードローンには審査の甘さを指摘する声が多い。銀行は、利用者が支払う金利の一部を傘下や提携先の消費者金融に回す代わりに、消費者金融が債務を保証。返済が滞った場合は消費者金融が債務を取り立てる仕組みを構築している。銀行本体はリスクを回避できるため、一部の銀行は返済能力などを審査せず、「すべてを消費者金融に丸投げ」(銀行関係者)しているのが実情だ。
金融庁は立ち入り検査で、「消費者金融などに過度に依存していないか」も確認する。
また、契約件数のノルマを達成するため、融資姿勢が緩んでしまった例もあるとみられ、多くの課題が浮き彫りになれば、銀行カードローンはより見直しを迫られそうだ。(飯田耕司、蕎麦谷里志)