李相哲氏講演詳報(3)

手段を選ばぬ北朝鮮…約束を破り核実験、逃げ癖、2代目の誕生神話も嘘

 国際関係論や国際政治では、この国は良い国とか、この国は悪い国という考え方はない。国際情勢のなかで、自国の国益をどれだけ考えて行動するかが全てです。でも北朝鮮の問題というのは、国民の利益を優先するのではなく、政権を維持するためにどうすべきかということを最優先している点にあります。

 北朝鮮、この国の成り立ちは1945年9月、日本が終戦で撤退したあとソビエト連邦(当時、現ロシア)が北朝鮮に進軍したときに始まります。北朝鮮に続々と戻ってきた政治勢力の中には、延安で毛沢東たちと一緒に革命に参加した人たち、韓国国内で日本に反抗して活動していた民族主義者、ソ連から戻った社会主義派がいた。

 金日成(キム・イルソン、後の北朝鮮国家主席)は1940年くらいからソ連のハバロフスクの近郊にあるビャツッコエという遊撃隊訓練キャンプで大尉の階級にいたソ連兵です。当時33歳の若い金日成の周りに人材を集めなければならないので、個人崇拝を始めた。

 近年になってソ連の資料館から発掘された資料から、ソ連の進駐軍将軍たちが金日成をどうやって偉い英雄に仕立てたかという工作の過程がありありと描かれています。

 それは金日成がかわいいからではなくて、ソ連が北朝鮮という国(の国民)を思い通りに動かすためです。ソ連が操る金日成の言う通りに北朝鮮国民を動かすためには、金日成を偉大な将軍に仕立てなければならない。

 そこから、北朝鮮は、一人の英雄がいて、「この人の周囲に団結すれば全てうまくいくよ」というストーリーを作っていく。その次に後継者になる金正日(キム・ジョンイル)は1942年生まれですから抗日も何もしていないため、英雄譚(たん)がない。朝鮮戦争にすら参加していない。そこで何をしたかというと、神話を作るんですね。

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