紅い権力闘争(下)

露骨な側近政治、募る不満 コラム代筆者まで異例の抜擢

 だが、軍内において李は長らく冷遇された。理由は簡単だ。軍に強い影響力を持った元国家主席の江沢民(91)に近い軍首脳と反りが合わなかったためだ。

 そんな不遇の「英雄」に目を着けたのが習近平だった。2012年11月に「戦って勝てる軍隊」への改革を掲げる習が中央軍事委員会主席に就任すると、李は成都軍区司令官、陸軍司令官、そして統合参謀部参謀長と破竹の勢いの特進を続けた。

 この5年、習は軍を自らの支配下に収めようと腐心してきた。胡錦濤前政権で軍制服組のツートップを務めた郭伯雄(75)、徐才厚(15年死去)を失脚させるなど、軍の人事に手を入れてきた。李はその象徴的な存在だ。

 李の起用には、確固たる実績がある実戦経験者を重用することで、周囲からの異論を封印する意図がある。自らが抜擢した人間を幹部に据え、自身の軍トップとしての座を名実ともに固めようとしている。

 実戦経験者とともに習が重用するのが、自身の地方指導者時代に関係を深めた軍人だ。特に03年まで18年間にわたり勤務した福建省に拠点を置く「第31集団軍」との深い人脈が指摘される。人民武装警察部隊の政治委員の朱生嶺(59)、国防大学学長の鄭和(58)…。ここ数年、多くの第31集団軍幹部が重要ポストに登用された。

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