紅い権力闘争(下)

露骨な側近政治、募る不満 コラム代筆者まで異例の抜擢

陳敏爾氏がトップを務める重慶市党委員会の出入り口=7月28日、中国重慶市(西見由章撮影)
陳敏爾氏がトップを務める重慶市党委員会の出入り口=7月28日、中国重慶市(西見由章撮影)

 観光客や買い物客でごった返す北京の繁華街、王府井の大型書店1階に、「特別推薦」と記された大きな棚がある。浙江人民出版社から10年も前の2007年8月に刊行された「之江新語」という書籍が、いまだにドンと積まれている。

 職場でこの本を配られた北京市幹部が感想を漏らした。「文章が抽象的でわかりにくい。最後まで読めなかった」。にもかかわらず、1万部を超えればベストセラーという中国で200万部以上が売れている。

 「之江新語」の著者は国家主席(共産党総書記)、習近平(64)。浙江省で党委員会書記として勤務した03年〜07年に、地元紙「浙江日報」で連載した同名のコラムから約230本が集められている。「之江」とは浙江省に流れる川、銭塘江の別名。浙江省そのものをイメージして名付けられたという。

 「幹部は世論の監督を歓迎せねばならない」「腐敗が多発する分野で予防策を強化せよ」など、後の反腐敗キャンペーンの基礎とみられる主張も少なくない。習の思想が詰まっているとして、各地の政府機関や共産党委員会が大量に購入し、学習会などを開いている。