正論

「斬首」恐れる金氏を追い詰めよ 独裁者は命が危ういと判断したときだけ譲歩する モラロジー研究所教授・麗澤大学客員教授・西岡力

 北朝鮮は少なくとも、あと1回以上の核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験をしなければ米本土まで届く核ミサイルを完成できない。しかし、それをすればチキンレースは最高潮を迎え、トランプ大統領が軍事攻撃を決断する可能性も十分ある。

 私はそこに至って初めて独裁者が中身のある協議に応じてくると思っている。しかしそのとき、日本が米朝協議からはずされて、資金拠出だけを求められた1994年のときと同じになる危険性もある。米国が北朝鮮に与えられるアメは限られており、合意には日本からの経済支援が必要とされるからだ。そのとき日本は、拉致被害者全員帰国なしには「いかなる支援もできない」と、わが国の原則を維持しなければならない。

 北朝鮮が米国の攻撃から逃れるため、拉致を認めてまで日本にすがった2002年の譲歩が再現すれば、米朝協議の前に安倍晋三首相訪朝が実現するかもしれない。訪朝の条件として全拉致被害者の帰国を掲げ続けることが肝要だ。(モラロジー研究所教授・麗澤大学客員教授・西岡力 にしおかつとむ)

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