【Drone Times】産業用ドローンの最有力はドイツのベンチャー企業 - 産経ニュース

メインコンテンツ

Drone Times

産業用ドローンの最有力はドイツのベンチャー企業

【Drone Times】産業用ドローンの最有力はドイツのベンチャー企業
【Drone Times】産業用ドローンの最有力はドイツのベンチャー企業
その他の写真を見る (1/2枚)

 空撮用ドローンの国際市場では、DJIに代表される中国企業が、世界的なシェアを占有している。一方で、今後の成長が見込まれる産業用ドローンの市場では、ドイツのベンチャー企業に注目と資本が集まっている。(Drone Times

Intelが買収したAscending Technologiesの実力

 先日、長崎のハウステンボスで300機のドローンによるライトショーを披露した半導体メーカーのIntel社は、この2〜3年でドローン産業への投資を加速している。ライトショーで使われたドローンは、Intel Shooting Starというオリジナルの機体。だが、そのコア技術を担っているのは、Intelが2016年に買収したドイツのAscending Technologies社。Intelでは、Shooting Starの飛行を制御するフライトコントローラーが、Ascending Technologiesの開発したオリジナルの技術だと説明している。Ascending Technologies社は、Intelに買収された後もドイツで事業を続け、数多くの産業用ドローンを開発している。同社が開発したドローンの中でも、Falcon 8というオクタコプターは、Intel Falcon 8+という名称で米国でも販売されている。8つのプロペラを独自設計のV型フレームに装備し、180°の視界を確保した前方にSony α 7RやInspection payload ZS50などのカメラやセンサーを取り付けて、測量や点検などに利用できる。機体の設計もユニークならば、フライトコントローラーやバッテリーに回路などを冗長化するなど、産業用ドローンに求められる安定性と信頼性も追求している。ちなみに、IntelによればFalcon 8+はフルHDの動画を伝送するために5.1GHzの帯域を利用するため、日本での販売は未定となっている。

(Ascending Technologies社のFalcon 8)

独ダイムラー社も注目する二人乗りドローン・タクシー

 独自動車メーカーのダイムラー社を含む数社のグループが、3000万ドル(約33億円)の出資を実施したことで話題になったドイツのスタートアップ企業e-volo社(本社:ドイツ、CEO:フロリアン・ロイター)。同社は、二人乗り大型ドローンの Volocopter(ボロコプター)を開発している。18基のプロペラを使い、約290kgの機体を飛行させる。このVolocopterが採用している飛行制御システムも、Ascending Technologiesの開発したフライトコントローラーになる。そのため、Intelも以前からe-volo社とVolocopterには注目していた。乗用ドローンに関しては、否定的な意見も多いが、ダイムラー社が出資したことで、二人乗りドローン・タクシーの飛行が現実味を増してきた。

https://www.dronetimes.jp/articles/1281

 人が乗るドローンの開発は、日本や中国にロシアでも推進されているが、Volocopterほど洗練された機体は登場していない。またフライトコントローラーに関しても、小型ドローン用のプログラムの流用ではなく、Ascending TechnologiesがVolocopter用に性能を強化している点からも、飛行の安定性が期待できる。2017年の第4四半期に予定されているドバイでの自動操縦によるテスト飛行の結果次第では、ドローン・タクシーの商用化の実現も加速するかも知れない。

固定翼UAVメーカーのMAVinci社もIntelが買収

 Ascending Technologiesに続いて、Intelが買収したドイツのUAVメーカーが、MAVinci社。同社はSIRIUSという固定翼UAVを開発している。SIRIUSは小さなセスナ機のような形をした固定翼UAVで、手で投げて飛ばして胴体着陸する。固定翼なので50km/h〜65km/hの速度で 50分間の飛行が可能。-20°〜45°の気温に対応し雨天でも飛行できる。Intelでは、このSIRIUSにもAscending Technologiesの飛行制御システムを組み合わせて、性能の強化やソリューションの開発を推進していく計画だ。

(MAVinci社のSIRIUSという固定翼UAV)

 欧州のドローンといえば、フランスのParrot社が老舗であり、同社が買収したスイスのsenseFly社のeBeeなどが有名。しかし、Intelやダイムラー社にドバイなどの取り組みを見ると、今後の産業用ドローンの最有力ベンチャー企業の多くが、ドイツから誕生してくると思われる。製造業が空洞化している米国では、IT系のベンチャー企業がドローンの産業利用を目指してはいるものの、そのビジョンに見合う機体を製造するには至っていない。なぜなら、米国では一部の軍需産業を除けば高性能なUAVを製造するための要素技術を国内で調達するのが難しいからだ。それに対して、自動車大国であるドイツには、UAVを製作する上で重要な機械系の部品や、工作機械が豊富にある。その意味では、日本もドイツに引けを取らない自動車大国だが、UAVに関しては投資が追いつかず、産業を育てるための市場も成熟していない。しかし、需要が増えるまでUAVの開発を待っていては、ドイツを筆頭に海外のベンチャー企業に大きな遅れをとってしまうだろう。今後の日本がUAV市場で存在感を高めていくためには、米国Intel社のようなビジョンを持ってベンチャー企業を束ねていこうとするプロデューサーやビジョナリストの存在が求められている。