経済インサイド

1万円札が消える!米ハーバード大教授がぶち上げた「1万円札廃止論」のナゼ そもそも現実的なの?

 ただ、日本の場合、1万円札の多さだけで、地下経済が膨れているというのはいささか乱暴な議論に思える。ロゴフ氏は現金での保管に便利な高額紙幣をなくしてしまえば、マイナス金利の深掘りがしやすくなり、金融緩和の効果も出やすいとも訴えている。

 こうした見方に、日本の多くのエコノミストは懐疑的だ。明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは「現金保有の機会費用が増すことは、マイナス金利の深掘りを容易にするが、金融政策のために現金の使い勝手を悪くするというのでは、多くの国民は納得しない」と主張する。

 みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「必死に稼いで蓄積した国民の資産に、合理的かつ説得的な理由がないまま政府が強引に圧力を加えると、社会が大きく混乱する上に、財産権侵害だとして訴訟が頻発するだろう」と指摘する。

 7月下旬まで日銀の審議委員を務めていた、野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストが8月2日付で配信したリポートも注目の的だ。

 日本で現金需要が高い背景について、木内氏は、(1)現金決済を好む国民性(2)低金利で銀行預金を保有するインセンティブが低下(3)現金を持ち運ぶことの不安が比較的小さい(4)どの地域でも現金が不足する事態が生じにくい(5)紙幣のクリーン度が高い-などと整理している。