ステージ 芸

中村吉右衛門「役の心伝えるのが天命」 「秀山祭」9月歌舞伎座

「どれだけ若い人に江戸の香りを伝えられるか。それが役目」と話す中村吉右衛門(納冨康撮影)
「どれだけ若い人に江戸の香りを伝えられるか。それが役目」と話す中村吉右衛門(納冨康撮影)

明治から昭和にかけ、歌舞伎界を牽引(けんいん)した初代中村吉右衛門を顕彰する「秀山祭」。9月歌舞伎座(東京都中央区)恒例の公演が今年、10回の節目を迎える。初代ゆかりの演目を継承してきた当代吉右衛門(73)は、「役の心を伝えるのが僕の天命と、命がけでやってきた」と振り返る。(飯塚友子)

初代松本白鸚の次男として生まれ、祖父である初代吉右衛門の養子となって、昭和23年に初舞台を踏んだ当代吉右衛門。今年の秀山祭は、当代が子役時代、初代と共演した思い出深い演目「極付幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)」と「ひらかな盛衰記 逆櫓(さかろ)」が並ぶ。

昼の部の「幡随-」は、幡随院長兵衛(吉右衛門)率いる江戸の町奴と、旗本との争いを描く河竹黙阿弥の名作だ。「初代の長兵衛は、(自分がかつて演じた)子供との最後の別れの場面で、涙を本当に流した。涙と唾がかかるので、嫌だなぁと思った記憶があります」と懐かしむ。

また夜の部の「逆櫓」は、主君・木曽義仲の敵、源義経を討つため船頭に身をやつした武将、樋口次郎兼光(吉右衛門)の鮮やかな硬軟の切り替わりと、内に秘めた覚悟が胸を打つ時代物狂言だ。

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