映画「ルパン三世 ルパンVS複製人間」 最新技術でよみがえる39年前の傑作 監督だけは「今さらほめられても…」

 当時はテレビの第2シリーズが放送中だったが、「あまりにお茶の間向けの(子供っぽい)演出で、スタッフの間に不満が高まっていた」という。

 「劇場版はもっとアダルトな内容にしようという機運が高まっていた。マモーとルパンの対立があるが、米国とソ連の対立構造の前ではかなわない、という物語がやりたかった」

 現在では、宮崎駿監督(76)の「カリオストロの城」(79年)と並んで人気の高い同作品だが、本人は、「ぴんとこない」という。

 「インターネットが普及し始めた90年代の終わり頃になって、人から『あの作品、評判みたいよ』と聞いた。何で今さら、という感じ。もっと後で発表していたら仕事も増えたかなあ」とため息をつく。

マモーはこうして作られた

 灰色の肌に子供のような小さな身体、巨大な目にカールした白髪…。吉川監督が自ら生み出したキャラクター、マモーは、異様な外見と俳優、西村晃(1923〜97年)の妖しいせりふ回しで多くの観客の記憶に焼き付いた。

 「米国のシンガー・ソングライター、ポール・ウィリアムズをイメージした。子供で老人という両極端な感じにしたかったんです」

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