和歌山県警、直轄警察犬を導入 容疑者逃走許した昨年の連続発砲事件が契機

 県警は当時、普段は民間の飼い主などが飼育し、要請に応じて出動する「嘱託警察犬」(嘱託犬)のみ運用。男の追跡に投入することも検討されたが、嘱託犬とペアで行動する民間人の危険が大きいことを考慮し断念された。ある捜査幹部は「直轄犬がいれば犯人の追跡に投入し、より早く足取りをつかめた可能性はあった」と話す。

 ヨハンの導入を契機に県警は将来的には頭数の拡充も視野に入れる。ただ、現状では頭数を増やしたり、犬舎を建てたりする予算の見通しが立っていないほか、直轄犬を専任で訓練するのも現在は庵野巡査部長のみで、人員確保が急務となっている。同課の喜多啓之次席は「嘱託犬の出動が難しかった現場で、直轄犬の嗅覚を生かした捜査が展開できることを期待している。今後は直轄犬と専任人員を増やし、態勢を整えていきたい」と話した。

高まる警察犬ニーズ

 犯罪捜査や認知症行方不明者捜索でニーズが高まる警察犬。全国的に出動件数は増加しており、平成28年には1万634件と過去10年で最多となった。その一方で、警察犬の大半を担う民間の嘱託犬は近年、頭数が減少。嘱託犬は飼育・訓練費など飼い主の負担が大きいことが理由とされ、警察が直轄犬の導入を進める要因となっている。

 警察庁によると、19年に7679件だった警察犬の出動件数は年々増加しており、昨年末には1万634件に達した。このうち捜索活動での出動の半数近くが認知症行方不明者の捜索で、今後の高齢化とともに警察犬の需要は一層高まるとみられる。

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