リニア南アトンネル JR東海社長、「年度内の本線着工」表明 山梨

 ■「先進坑」など報道公開

 JR東海の柘植康英社長は23日、全長約25キロに及び、リニア中央新幹線の難関工事の一つとされる「南アルプストンネル」のうち、山梨工区(本線約7・7キロ)で完成した早川町新倉の「早川非常口」(約2・5キロメートル)を視察した。柘植社長は視察後、同工区の本線トンネル工事の着工について「年度内の予定で進んでいる」と表明した。柘植社長は後藤斎知事と会談し、地元企業の受注機会の拡大などの要望に前向きな姿勢を示した。 (松田宗弘)

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 柘植社長は県庁内で報道陣の取材に応じた。最深部で地下1千メートルに達する山梨工区は難工事も予想されるが、「建設会社には高い知見がある。その都度、対応し、乗り越えて前に進めたい」と述べた。同工区は平成37年10月の完成を目指している。

 県内の用地取得について「地上の『明かり区間』が長いことが大きな課題」と指摘した上で、「県の支援もあり、特段の力を入れて進めたい」と述べた。

 JR東海によると、県内の明かり区間は甲府盆地を中心とする27・1キロ。買収済みの区間や、買収完了予定時期について、「用地交渉への影響が懸念される」として、同社も県も明らかにしていない。

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 早川非常口は報道陣にも初めて公開された。昨年10月に掘削を開始し、このほど完成した。

 本線トンネル工事の機材搬入や掘削土搬出などに用いられ、本線完成後も避難通路や換気などの役割を果たす。今後、同町内の広河原にも非常口を設置する計画だ。

 事前地質調査用の「先進坑」(約5・2キロ)のうち、90メートルの完成部分も公開された。地下約750メートルの先進坑の先端部には、重量約35トンの重機が置かれていた。

 1日に約5メートルを掘り進む。掘削土は大型のベルトコンベヤーで地表へ送られ、約100台のダンプカーで搬出するという。

 JR東海山梨工事事務所の有江喜一郎所長は、非常口から本線工事の現場に至る「連絡坑」(約30メートル)を「早期着工したい」と述べた。

 同工区全体の進捗(しんちょく)率について、有江所長は「まだ数%だが、地下水も少なく順調だ」とし、「先進坑を活用して早急に地質、地層を予測し、本線工事へつなげたい」と話した。

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 柘植社長との会談で、後藤知事は地元企業の受注機会の拡大などを要望。柘植社長は「県内企業は工事現場に近いという強みを生かしてご協力いただきたい」と応じた。

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