「歌声喫茶」多様化で脚光 70代の青春輝き放つ

 伴奏も、最初は飯田さんと市民合唱団の現役指揮者でもあるアコーディオンの森川和男さん(75)、プロのフリーピアニストの喜多陵介さん(53)の3人だった。その後、ドラムの藤堂真二郎さん(72)、ベースの横谷重雄さん(54)を1年かけて引き入れ、シニアの音域に合わせる「移調」も自在にこなせるバンドになった。

 「納得できる音楽を作れることが、生きがいの一つ」と飯田さん。参加者の栗原範夫さん(87)は「カラオケは1人で好きな曲を歌うだけだが、ここでは自分が生きてきた時代を、歌でみんなと共有できる」と魅力を話す。

 ただ、復活を遂げたかに見える文化にも、先行きを懸念する声がある。いちはら歌声を楽しむ会の清水さんは、「次のシニア世代に受け継がれることはないのでは」。

 シニアの生きがいづくりに詳しい桃山学院大社会学部の石田易司教授(69)も「現在は個が尊重され過ぎて、集団が煩わしい社会になっている」と時代の変化を指摘する。シニアの生きがいは一律ではなく、今後ますます多様化していくと示唆した。

会員限定記事会員サービス詳細