ただ、急激な成長はひずみも生む。地元メディア「澎湃新聞」が7月6日に伝えたところによると、傘シェアリングの「E傘」が提供した傘30万本がわずか数週間で紛失したという。6月には、シェアサイクリングを展開する「悟空単車」と「3Vbike」が相次いで倒産した。電子キーを壊されたり、衛星利用測位システム(GPS)が搭載されておらず自転車が行方不明になってしまったりして、貸し出したまま戻らなくなったという。
さらに、華商網が8月2日、一部のシェアリングアプリが売春を斡旋する場になっているという疑惑を伝えた。表向きは女性がメークや料理など、男性が運転代行や電子ゲーム指導などを提供する内容だ。だが、トップ画面に過激に露出した女性の写真が大量に掲載されており、女性ユーザーとして登録したところ、数人の男性ユーザーから「特別サービス」を暗にあるいは露骨に要求されたという。
今のところ、需要の伸長で新規参入組にも商機があるシェアリングビジネスだが、長期的に成立できるかを見極めるのには、もう少し時間がかかりそうだ。(経済本部 鈴木正行)
シェアリングエコノミー(共有型経済) モノやサービスを共有して利用する新しい仕組み。欧米を中心に世界に広がっている。個人などの所有物が使われていない時間に他の人に有料で貸し出すことで、仲介役が収入を得ることができる。カーシェアリングや、観光客を一般住宅に有料で泊める「民泊」といった、さまざまな形態のビジネスが生まれている。