浪速風

夏の終わりは誰も詩人になる 酸いか甘いか、混雑戻った電車内、どんな夏の思い出を?

長雨天候不順で雨天が続く東京の都心部=8月16日午後、東京・銀座(桐山弘太撮影)
長雨天候不順で雨天が続く東京の都心部=8月16日午後、東京・銀座(桐山弘太撮影)

お盆を過ぎると、残暑の中にもいくらかの秋の気配を感じる。日差しはやや傾き、雲が高い。あれほど騒々しかった蝉の声もちょっとおとなしくなった。今年の夏は西高東低の気象異変で、関東や東北地方はぐずついた天気が続き、気温も低いそうだ。とすると、秋は東からやってくるのだろうか。

▶若い頃に読んだヘルマン・ヘッセの「青春は美(うる)わし」という短編がある。異郷に暮らす青年が、夏休みに数年ぶりに帰郷する。かつての恋人には婚約者がおり、青年は妹の友達に恋心を抱く。休みの最後の日に思いを打ち明けるが、この恋も実らず、弟が打ち上げる花火を列車の車窓から眺めながら故郷を去る。

▶私事で恐縮だが、わが女房は学生時代の夏に帰省して知り合った妹の友達である。ともに齢(よわい)を重ね、すでに人生の秋を迎えた。お盆休みが終わって、今朝の電車はいつもの混雑が戻った。車内を見回しながら、どんな夏の思い出ができたのだろうと想像した。