浪速風

「ケチ本」さんはほめ言葉だった-吉本晴彦氏、タクシーで助手席争うどケチぶり、しかし「生き金」は惜しまず

大阪マルビル会長の吉本晴彦さん=平成14(2002)年
大阪マルビル会長の吉本晴彦さん=平成14(2002)年

大阪ではケチは悪口ではない。井原西鶴も「日本永代蔵」で商人の心得の一つとして「始末」をあげている。吉本晴彦さんは、「大阪の3ケチ」と称された森下仁丹の森下泰さん、サントリーの鳥井道夫さんとタクシーに乗る時、助手席を争った。先に降りて料金を払わずにすむからだ。

▶「ケチのケは経済のケ、チは知恵のチで、無駄な金(死に金)は使わないが、生き金は惜しみなく使う」。教祖を名乗った「大日本どケチ教」を宗教法人にと申請したが、「ご神体は?」と問われて、「おごりたかぶらない心や」。大真面目だったが、笑われて相手にされなかった。

▶大阪駅前の所有地に一夜にして建てられたバラックを強制撤去して逮捕された。「不動産侵奪罪」ができるきっかけになった「梅田村事件」である。その場所に大阪マルビルを建てた。円筒形の構造は建築費が高くなるが、「大阪のシンボルにする」。生き金は惜しまぬ見事な「どケチ人生」だった。