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「早生まれは損」。日本ではかねてから、1月〜4月1日に生まれた「早生まれ」の子供たちは4月2日以降の「遅生まれ」に比べ、運動能力などで劣るとされてきた。3月生まれの記者自身、小中学校時代はスポーツに関していい思い出はほとんどない。同級生と自分の能力差に気づいてしまい、「自分には才能がないのか」と早々に自信をなくしてしまった早生まれの人も少なくないだろう。
そうした生まれ月による差「相対的年齢効果」についてこのほど、奈良女子大の研究チームがまとめた研究成果が、米運動科学誌に掲載された。これまで経験則で語られることが多かった課題を科学的に分析した結果は、実に興味深いものだった。(神田啓晴)
プロのアスリートは「遅生まれ」ぞろい?
「早生まれは損」とされてきた根拠の一つが、プロスポーツ界にある厳然とした事実。プロ野球やJリーグ選手には、4〜6月生まれが圧倒的に多い。
今回、研究成果を米科学誌に発表した奈良女子大(奈良市)の中田大貴准教授(スポーツ科学)によると、4〜6月生まれのJリーグ選手は全体の34・7%で、プロ野球選手も32・8%。一方、1〜3月の「早生まれ」選手はJリーグで14・6%、プロ野球も14・2%にとどまっている。
今年、小学校に入学できたのは2010年4月2日〜11年4月1日に生まれた子供。考えてみれば、成長期間には最大12カ月間ものばらつきがある。その集団が「同学年」として運動の練習や試合を繰り返せば、相対的に成長の遅い「早生まれ」は不利であろうことは、想像に難くない。