【正論・戦後72年に思う】戦後初めて日本は、米国追随でなく自らの意思で将来を構想しなければならない岐路に立たされた 京都大学名誉教授・佐伯啓思(3/4ページ) - 産経ニュース

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正論・戦後72年に思う

戦後初めて日本は、米国追随でなく自らの意思で将来を構想しなければならない岐路に立たされた 京都大学名誉教授・佐伯啓思

 その結果が、08年のリーマンショックであったが、さらに日本の場合には、11年の東日本の大震災に見舞われる。とりわけこの大震災は極めて重要な意味をもっていた。それは、例外的な1回限りの事態ではなく、1995年の阪神大震災も含めて「巨大災害の時代」の始まりというべきであった。

 「戦後」という時間をざっと眺めても、これぐらいの区切りは容易にできるだろう。ではその時々で、われわれは何かを明確に選択してきたのだろうか。憲法改正もようやく論じられるようになったし、日米安保体制に関する議論も提起されたものの、大きくいえば平和憲法、対米従属、経済成長主義、という3点セットはほぼそのままである。このサンフランシスコ体制とでもいうべき事態を、第1次安倍内閣の言葉を借りて「戦後レジーム」というならば、それは65年たっても継続している。

≪全てを問い直さねばならない≫

 だが、今日、その全てがもはや自明のものではなくなっている。中国との軋轢(あつれき)や北朝鮮問題、「イスラム国」などによるテロの拡散は平和憲法への重大な挑戦であり、米国のトランプ大統領の登場は、米国の政治そのものの信頼失墜を意味し、日本の人口減少や高齢化によって、経済成長をもはや自明の価値とはできなくなった。