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第二次大戦中に海外などで亡くなった戦没者の遺骨収集を行う学生主体のNPO法人「JYMA日本青年遺骨収集団」が、今年で発足から50年を迎えた。これまで約20カ国・地域に延べ1976人を派遣。収容した遺骨は16万3723人分にのぼる。政府主催の遺骨収集事業に参加してきたほか、沖縄やサイパンなどでは自主的に調査・収集を実施。戦後72年を迎え、生還者や遺族が高齢化する中、遺骨収集事業の担い手の主力になりつつある。(池田祥子)
資金難で一時活動休止も
「密林に軍服を着たままの遺骨がごろごろと残されていた」。昭和50〜60年代に収集団のメンバーとして南方の島々で遺骨収集に参加したOBは振り返る。密林内で約1カ月間野営しながら遺骨を集めたという。
収集団は42年6月、仏教系大学の学生らによる「学生慰霊団」として発足。当初は旧日本軍玉砕地での慰霊や慰霊碑建立が目的だった。しかし、現地で多数の遺骨が放置されている現状を目の当たりにし、45年に「学生遺骨収集団」と改名し、遺骨収集を開始。以降、主にマリアナ諸島やソロモン諸島などで活動を続けてきた。
国の遺骨収集事業は27年に始まったが、政府内で何度も幕引きが検討され、消極的な対応に終始してきた経緯がある。こうした中で、生還者や遺族とともに遺骨収集に深くかかわってきたのが収集団の学生たちだった。
学生のアルバイトや寄付で運営費をまかなっていたため資金難などに陥り、平成2〜6年の間は活動を休止した。だが、この間に政府による旧ソ連地域での遺骨収集が始まったことをきっかけに復活の機運が高まり、7年から活動を再開させた。