酷暑の中での開催が想定される2020年東京五輪・パラリンピックで暑さ対策は重要な課題に位置づけられている。地表面の温度上昇を抑える特殊な道路舗装など既に着手している対策はあるものの、暑さ対策の大枠は大会組織委員会が検討している段階で、細かな実施項目や実施主体は今後詰めていく。混雑が予想される最寄り駅から競技会場までの道のり「ラストマイル」は検討課題が多く、自治体からは「なるべく早く運営方針を出してもらいたい」との声も漏れる。(高橋裕子)
「原則中止」レベル
「激しい運動を控えるレベルに、多くの会場がひっかかるのではないか」。組織委の担当者は酷暑の五輪をこう懸念する。
気温や湿度、日射などから算出する「暑さ指数」に基づく日本体育協会の熱中症予防に向けた指針では、暑さ指数28〜31度で激しい運動を避ける「厳重警戒」、31度以上で「運動は原則中止」。政府が昨年7〜8月、東京都、神奈川県、埼玉県にある競技会場計3カ所で測定したところ、いずれも複数の日で31度以上の数値を記録した。
新設する競技会場では、設計段階から遮熱材を塗って路面温度の上昇を抑える「遮熱性」の舗装や、屋上・壁面の緑化などの暑さ対策を取り入れている。新国立競技場(新宿区)の場合、スタジアム内部に風を取り込むひさしや、観客席の体感温度を下げるファンなどが整備される。