年末の税制改正の議論で、俎上に上る可能性もあるだけに、企業のトップらは神経をとがらせたにちがいない。
講演後の質疑も大きな盛り上がりをみせた。
大和証券グループ本社の鈴木茂晴顧問が「このほど、日本証券業協会の会長になりました。まず、そこでお願いです。証券会社にだまされたというのは、いわないでいただきたい。せめて、『予想が大きく外れた』ぐらいにしていただけないでしょうか」と発言すると、会場内は大爆笑。麻生氏も苦笑いするほかなかった。
その後、三井住友フィナンシャルグループの国部毅社長が「国内総生産(GDP)の6割が消費だが、それが伸びていない。高齢者から(現役世代への資金の)世代間移転の取り組みをどう考えているのでしょうか」と質問。他の経営者からも消費に関連した質問が相次いだ。
これに対し、麻生氏は「高齢者消費が問題だが、第2次世界大戦直後の日本の平均寿命は53歳。かつては55歳定年で、それでよかった。しかし、今では平均寿命は80歳を超えている。この環境では老後、資金面で心配になる。この前、ある高齢の方と話したが、『何か不安なことはありませんか』と聞くと、『老後の資金が心配です』といわれた。90歳の方にね」と語り、会場内の笑いを誘った。