阿比留瑠比の極言御免

10年前から続く印象操作 憲法改正を目指す保守派はメディアが問題視、ハト派なら目こぼし

 ところが、多くのメディアは安倍首相が全部悪いとばかりに批判を続け、「不安は必ず解消する」との首相の言葉に対しても、不可能で無責任だと断じてその責任を追及した。

 一方で、安倍政権が発足当初から社保庁改革を掲げていたことや、社保庁に支配的影響力を持っていた公務員労組が民主党とつながっていることは、ほとんど報じようとしなかった。

 民主党の小沢一郎代表(当時)もこれに乗じ、この年7月29日投開票の参院選を「年金信任選挙」と位置づけた。こうして徐々に、安倍首相に対する不信の根が植え付けられ、一度懲らしめようという空気が高まっていく。

 メディアは同時に、安倍政権の「政治とカネ」の問題も大々的に報じ続けた。閣僚の関係団体が政治資金収支報告書に、領収書に記されたものとは異なる郵便局名を記述していたことが分かったなどと、重箱の隅をつついては、まるで重大事であるかのように1面記事に仕立て上げていた。

 だが、政治とカネの大騒動は、安倍政権が倒れて福田康夫政権が誕生するとぴたりとやんだ。

 福田氏をめぐっては、首相就任直前に、朝鮮籍のパチンコ店経営者から違法献金を受け取っていたことが判明したが、新聞各紙の扱いはベタ記事程度だった。さらに、総額950万円分の領収書のあて名書き換えや、公職選挙法違反にあたる国の公共事業受注企業からの計1150万円の寄付金受け取りも発覚したが、メディアはもうあまり関心を示さなかった。

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