経済インサイド

宗教対立インド食肉業界に打撃 ヒンズー至上主義政権が牛取引で規制 相次ぐ襲撃事件も

輸出関連にも影響

 牛の仲間の中で、デリー首都圏で食肉処理が認められている水牛の事業収入は、政令発表後、約3割減となり、水牛肉の価格は5割増しになった。水牛肉の品不足により、鶏肉やヤギ肉の価格も上昇している。約5万人の業者のうち、25%が仕事をやめているという。

 クレシ会長は、最高裁の3カ月の差し止め命令期間中に、政府がどのような見直しを示すのかに神経をとがらせつつ、政府に対し、牛関連の暴力に断固とした措置を取るよう求めている。

 インドでは、約8割を占めるヒンズー教徒の多くが特に雌牛を神聖視している。しかし、人口13億人以上の大国には、多様な文化が存在し、イスラム教徒やキリスト教徒、一部のヒンズー教徒にはこうした習慣はない。牛の食肉処理についての規制は、連邦制国家の中で州によってまちまちだが、家畜市場での取引禁止令はモディ政権が連邦政府として、初めて行った規制で、全国的に影響が広がった。

 インドは、世界有数の水牛肉輸出国でもあり、タイムズ・オブ・インディア紙によれば、15年度の輸出額は約2700億ルピー(約4700億円)に上るが、輸出関連業者も、被害を受けているもようだ。(ニューデリー 岩田智雄、写真も)

ヒンズー教 古代インドのバラモン教と土着の信仰が融合して、長い時間をかけて形成された多神教。ブラフマー、ビシュヌ、シバの3神を重要視する。冠婚葬祭や食習慣、風習など国民の生活全般の土台となっており、特有の社会身分制度「カースト」もその一つ。牛は神聖な動物として崇拝され、食べることは禁忌とされる。ヒンズー教徒は国民の79.8%で、ほかにイスラム教徒14.2%▽キリスト教徒2.3%▽シーク教徒1.7%▽仏教徒0.7%▽ジャイナ教徒0.4%-となっている(2011年国勢調査)。

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