原爆の日

戦没死没者の孫らも記念式典に出席、平和を誓う

 「もう一度寄り添いたい」「平和へ思いつなぐ」-。「原爆の日」の6日、広島市の平和記念式典には、この1年に原爆死没者となった祖父や祖母のいる若者たちも出席し、それぞれの思いを胸に平和への誓いを語った。

 広島市佐伯区の山崎陽平さん(28)は、昨年10月に90歳で死去した祖母の躍場(おどりば)シミ江さんが爆心地から約900メートル地点で被爆、負傷している。この日朝は、自宅で仏壇に手を合わせ、「行ってくるよ」と言った後、式典会場へ。

 シミ江さんは生前「戦争はいけん」が口癖だった。よく戦争や平和の会話もしていたという山崎さんは式典に出席後、「もう一度、祖母の思いに寄り添いたい。祖母が教えてくれたことを、自分が若い人に伝えていく番なんだと感じた」と話した。

 安村杏莉さん(29)は、昨年12月に85歳で死去した祖父、森崎幸三さんが爆心地の約1・3キロ地点で被爆した。

 幸三さんは生前、「思い出したくない」と被爆体験を語ることもなかったが、亡くなる数日前、入院先の病院で突然語り始めた。原爆の突然の閃光で気を失った。自身はなんとか無事だったが、近くにいた友人は見る影もない姿になっていたことなどを打ち明けたという。

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