浪速風

怖いは涼しい-「怖い絵展」、残酷な場面なのにこの静謐さ 恐怖は洋の東西問わず

内覧会で「レディ・ジェーン・グレイの処刑」を鑑賞する人たち=21日、神戸市中央区の兵庫県立美術館
内覧会で「レディ・ジェーン・グレイの処刑」を鑑賞する人たち=21日、神戸市中央区の兵庫県立美術館

兵庫県立美術館で開催されている「怖い絵展」は必見である。先週末に出かけたが、見て回るのに2時間以上かかった。混雑していただけでなく、作品それぞれに物語があり、解説をじっくり読んで鑑賞するとより味わい深い。女優の吉田羊さんによる音声ガイドもよかった。

▶ギリシャ神話やキリスト教が背景にあっても、恐怖は洋の東西を問わないのが面白い。船賃を取って死者を冥界に運ぶ「ステュクス川(エスキス)」は三途の川の渡しである。2人の女性がわが子を主張する「ソロモンの判決」は、おなじみの大岡裁きの原型といわれる。堕落した町を壊滅させる「ソドムの天使」は仏教画のようだ。

▶「レディ・ジェーン・グレイの処刑」はやはり圧巻だった。目隠しされ、司祭に導かれて首置台を手探りする16歳の女王、嘆き悲しむ侍女、斧を持つ処刑人…。残酷な場面なのに、この静謐(せいひつ)な美しさはどうだ。名画にひたってしばし猛暑を忘れた。怖いは涼しい。