「ミスタープロ野球」こと長嶋茂雄さんが高卒でプロ入りしていたら…。往年の野球ファンにとってこれほど魅力的な「歴史のイフ」はない。千葉県の佐倉一高時代、甲子園出場こそ逃したものの、強打の三塁手としてスカウトの目に留まっていた。
▼日経新聞の「私の履歴書」によれば、あこがれの巨人からも誘いが来て、長嶋さんは有頂天になっていた。ところが堅物の父親は、契約金の話しかしないプロ野球球団にうんざりして、勝手に立教大入学を決めてしまう。
▼プロ入りか大学進学か、日本中の野球ファンが、早実の清宮幸太郎内野手の去就に注目している。先月30日の西東京大会決勝で、早実は東海大菅生に敗れて、2年ぶりの甲子園出場を逃した。清宮選手は、新記録となる高校通算108号本塁打にも届かなかった。
▼それでもスーパースター候補であることには変わりはない。長嶋さんは「できれば早くプロ野球に入ってほしい」と熱望する。確かに、早実の大先輩である「世界のホームラン王」王貞治さんの名前を挙げるまでもない。イチロー、ダルビッシュ、田中将大、前田健太と、メジャーリーグでは「高卒組」の日本選手の活躍が目立つ。