東大教授の論文に不正 実験結果など捏造、大学が公表 英ネイチャーなどに掲載

東京大学の赤門=東京都文京区(花房壮撮影)
東京大学の赤門=東京都文京区(花房壮撮影)

 東京大は1日、分子細胞生物学研究所の渡辺嘉典教授ら2人が関わった平成20〜27年の論文5本に捏造と改竄の不正があったとする調査結果を公表した。

 調査報告書によると、不正を行ったのは渡辺教授と研究室に所属していた丹野悠司助教(当時)。実験を行っていないにもかかわらず、実験を行ったかのような結果を示すグラフを作成したり、掲載した写真などで計6件の捏造があったと認定した。

 また、比較した2つの画像のシグナルの強度について、意図的に一方の強度を操作するなど計10件の改竄があったとした。

 不正と認定された論文は世界的に著名な英ネイチャーや米サイエンスなどの学術誌に掲載されており、渡辺教授は論文の訂正や取り下げについて学術誌側と相談を進めているとしていた。

 渡辺教授は生殖細胞での減数分裂に必要なタンパク質の発見などで知られ、27年に朝日賞を受賞している。

会員限定記事会員サービス詳細