広角レンズ

覆面販売 再生なるか文庫市場 出版社別→著者別へ

 苦境を受けて、棚での陳列方法を見直す書店も出てきた。

 埼玉県坂戸市のTSUTAYA坂戸八幡店は昨年4月、文庫棚での本の並べ方を一般的な出版社・レーベル別から、著者名の五十音順に変えた。

 「出版社の違いを超えて同じ著者の作品を一覧できるので、目的の本を探しやすいのが利点」と同店の涌田佳司郎さん。出版社ごとにデザインが違う文庫が1カ所に集うので見た目の統一感は薄れる。ただ客の評判は上々で、今年5〜6月の2カ月間の文庫の売り上げも前年同期比115%に伸びた。「TSUTAYA」のフランチャイズ事業を行うブラス(東京)は昨年から「著者別陳列」への移行を本格化。本を扱う47店のうち、すでに28店が採用している。

 出版取次大手の日販も新たな発注システムを開発し書店を支援する。日販が首都圏の文庫購入者に行ったアンケートでは、出版社別より著者別の陳列を支持する人の割合が6割を超えたという。担当者は「出版社名をよく把握していない人たちの潜在ニーズはあるはず」とみる。

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