からだのレシピ

日本医師会赤ひげ大賞第5回受賞者 大森英俊医師

医学生(右)と看護師(中央)とともに訪問診療を行う大森英俊院長
医学生(右)と看護師(中央)とともに訪問診療を行う大森英俊院長

 □大森医院院長

 ■医療過疎地域の体制づくりに注力

 「茨城県北には医師が全国平均の3分の1しかいない」と話すのは常陸太田市で大森医院を運営する大森英俊院長。「このままでは過疎地域において医療がなくなってしまう。なんとかできないか」という思いがあり、県南の筑波大学から地域医療を学ぶ医学生を受け入れ、今年で12年目になる。その連携が功を奏し、大森院長の進める「複数人で負担軽減を図る過疎地域の医療体制づくり」に、学生のとき地域医療に興味を持った医師が協力してくれる流れができ始めた。

 大森院長は過疎地域の医療を山登りに例える。山登りでは山の中腹にベースキャンプを置き、さらに山頂に向けて拠点を作りながらトライする。医療過疎地域における山頂は町から離れた奥地の集落。ベースキャンプにあたる「ひたち太田家庭医療診療所」を4月に開業した。広い範囲をカバーできるよう、ここを拠点として小さな診療所をいくつか設ける予定だ。少し離れた水戸市などから医師が週に1、2日来られるような場所を確保し、医療過疎地域における医師の入り口を作っていく。

 医療過疎地域では、民間診療所の存続が世襲などに任されており、医師の供給が安定しないことが問題の一つ。「医師の高齢化などで医療が途絶してしまってから何とかしようとしても無理。今のうちから取り組み始めないと」と大森院長。若い医師には家庭や子供の教育などもあり過疎地域に呼び込むことは難しい。そこでローテーションにより医師の個人負担軽減を提案し、無理のない医師確保を目指す。「1人の医師に頼るのではなく、複数の医師による協力体制が安定した医療の供給になる」

 この体制づくりは約10年前、筑波大学が声を掛けてくれたことが核となっているという。民間の診療所に声が掛かることはまれで「父から大森医院を継ぎ、訪問診療や在宅診療の流れをつくった。その試みを認めてもらえてうれしかった」。「学生に地域医療の現場を見せると興味深く見てくれて、面白さ・やりがいを感じてくれていることが分かった」という。大森院長はそういう学生らと仕事後に酒を酌み交わすのを楽しみにしている。

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【プロフィル】大森英俊

 おおもり・ひでとし 茨城県常陸太田市徳田町の大森医院院長。昭和29年、茨城県生まれ。63歳。岩手医科大医学部卒。同大第1外科助手を経て、平成5年に父の後を継ぎ大森医院での勤務を開始。翌年、理事長に就任。高齢化の進む医療過疎地で、在宅医療や介護サービスの充実に尽力。医学生や若い医師を受け入れ、地域医療実習を行うなど家庭医の育成にも力を入れている。

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 ■「赤ひげ大賞」

 主催:日本医師会、産経新聞社 特別協賛:太陽生命保険

 ホームページ http://www.akahige-taishou.jp/

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