手足口病、1週間で239人…大流行の兆し 長野

 乳幼児を中心に口の中や手、足に発疹が出る「手足口病」が、県内でも大流行の兆しを見せている。今月23日までの1週間で医療機関(小児科54機関)から239人の感染届け出があり、今年1月からの届け出累計(550人)の半数近くに迫る。通常数日で治癒するが、髄膜炎や脳炎などを引き起こし重症化するケースもある。県健康福祉部は、手洗いの励行など予防を呼びかけている。

 手足口病は、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスによって引き起こされる感染症。国立感染症研究所によると、夏季に流行し、患者は2歳以下が半数を占める。

 感染すると3〜5日の潜伏期をおいて、口腔(こうくう)粘膜や手足などに2、3ミリ程度の水疱(すいほう)性発疹が現れる。発熱は約3分の1にみられるが、ほとんどが軽度という。

 通常は3〜7日で回復し、特別な治療法はない。口の中に発疹ができた場合、刺激となるような食べ物を避け、こまめな水分補給が必要とされる。

 県健康福祉部が毎週発表する県感染症情報だと、平成29年第29週(7月17〜23日)の1医療機関当たりの感染症届け出数は4・43人。前週(10〜16日)の2・37人から約1・9倍増えている。

 過去11年間の感染動向と比較しても、ピーク時の週間届け出数が17・20人と、最も多かった27年と似た上昇カーブを描いており、大流行の兆しがうかがえる。同部の担当者は「これから患者の急増が予想される」と分析する。

 ただ、第29週時点では感染動向に地域差があり、11保健所のうち警報レベル(届け出数5・0人)を、飯田(同13・50人)が大きく超えた。このほか、松本(同6・20人)、長野市(同5・09人)、北信(同5・00人)も高水準にある。

 ここ数年、手足口病は1年おきに大流行しており、27年は1医療機関当たりの届け出数が年間累計で139・38人に達した。これに対して28年は16・25人と少なかった。

 手足口病は、くしゃみなどの飛沫(ひまつ)や便を通じて感染するため、保育施設などで集団感染が起こりやすい。同部は、旧盆のころまでが感染ピークと指摘。感染を防ぐには、手洗いをしっかり行うほか、「タオルは家族であっても共用しないことなどが必要」と注意喚起している。

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