県は南海トラフ巨大地震に備えた「県地震・津波対策アクションプログラム」の、平成28年度末時点の進捗(しんちょく)状況を発表した。176の項目のうち、遅れが出ているのは12%に当たる21項目で、特に100〜150年に1度起きるとされるレベル1津波に対応した防潮堤の整備率が0・2%にとどまるなど、津波対策の施設整備に関係する項目で遅れが目立っている。
アクションプログラムは25〜34年度の10年間で最大10万5千人とされる南海トラフ巨大地震発生時の本県の犠牲者を8割減らすことが目標。レベル1津波への対策では、海岸121・5キロに防潮堤を築く計画だが、計画開始から4年が過ぎた28年度末時点で整備率は0・2%(0・28キロ)にとどまっている。
主な原因は伊豆地域で住民合意が難航していること。同地域では海岸線を50地区に分けて協議を進めているが、観光や漁業への影響を懸念して4割に当たる21地区が防潮堤ではなく避難場所の整備を中心とした対策を希望しているという。
このほか、レベル1津波への対応では、堤防のかさ上げや水門の設置といった対策が終了した河川も67河川中1河川にとどまっている。
さらに1千〜数千年に1度とされる最大規模のレベル2津波への対策では、津波避難タワーや津波避難ビルに避難可能な住民の割合を34年度末までに100%に引き上げる計画だが、28年度末時点でこの割合は88%と伸び悩んでおり、目標達成は微妙な情勢だ。
県民の防災意識に関係する項目も進捗状況は低迷。家具を固定している県民の割合は17・6%(27年度実績)、7日分以上の食料を備蓄している県民の割合も6・3%(同)にとどまっている。