観光庁は27日、日本の旅館の生産性を高めるため、備品・食材の共同調達や共同集客などで施設間の連携を促す方針を固めた。成功事例を示すためモデル事業の実施も検討する。旅館の多くが非効率な業務が低賃金につながり人材不足を招く悪循環に陥っており、2020年東京五輪・パラリンピックに向けて急増する訪日客の需要を呼び込むためにも、旅館の競争力向上を急ぐ。
観光産業の振興策を議論する28日の有識者検討会で報告書としてまとめる。宿泊産業の競争力強化と地域観光の活性化に向けた課題を整理。その一つとして複数の旅館が企業や地域の壁を越えて連携し、コスト削減と顧客への付加価値サービスの充実を両立することを促す。
同庁は複数の旅館が共通入浴券の発行で連携するといった共同集客のほか、タオルや食材などを一括で大量に仕入れて納入価格を抑える活動を想定している。
人材面にも踏み込む。旅館同士で配膳・調理などの業務やマーケティングを担う各種人材の採用で協力したり、人材を融通し合ったりする。